この記事の結論
間仕切りを立てると、多くの場合スプリンクラーヘッドの移設または増設が必要になります。
そして、工事の前後には消防署への届出が必要です。届出は甲種消防設備士でなければ提出できません。
「壁を立てるだけ」に見える工事でも、消防設備の確認が抜けていると、消防検査が受けられません。
なぜ、間仕切りを立てると移設が必要になるのか
理由1:ヘッドのない部屋ができてしまう
もともと1つの部屋だった空間を間仕切りで2つに分けると、片方の部屋にヘッドが1つもない状態になります。
火災が起きても水が出ない部屋ができるため、ヘッドの増設が必要になります。
理由2:壁が水の広がりを遮ってしまう
スプリンクラーヘッドは、天井から傘状に水をまいて消火します。
このため、天井まで届かない腰高のパーテーションであっても、位置によっては水を遮ってしまいます。 間仕切りだけでなく、後から取り付けた垂れ壁、背の高い書棚、照明器具やダクトも同じ理由で問題になります。
「天井に付けていないから大丈夫」とは限らない、というのがポイントです。
たとえば、20坪のワンフロアのオフィスに4本のヘッドが配置されていたとします。ここに壁を1枚立てて会議室を区切ると、会議室側にヘッドが1本も入らない、あるいは1本は入っているものの、壁のすぐ脇に位置していて水が室内に届かない、といったことが起こります。
壁の位置が数十センチ違うだけで、移設が必要かどうかが変わる。 図面を見て判断する必要があります。
移設が必要かどうかの判断基準
1. 間仕切りが天井に達するかどうか
天井まで達する壁を立てる場合は、区画が完全に分かれるため、ほぼ確実にヘッドの増設・移設が必要とお考えください。
天井に達しない場合でも、高さと位置によっては散水障害となります。
2. ヘッドから壁までの距離が確保されているか
スプリンクラーヘッドは、床の各部分からヘッドまでの水平距離が一定以下になるよう配置されています。この距離は建物の構造や用途によって異なり、耐火建築物の事務所では2.3m、耐火建築物以外では1.7mが基本です(高感度型ヘッドを使用している場合は2.6m)。
間仕切りによって、この範囲から外れる部分ができないかを確認します。
あわせて確認するのが、ヘッド周辺のクリアランスです。実務上は、ヘッドの中心から水平方向に0.3m、デフレクター(先端の水を拡散させる部品)から下方に0.45mの範囲に、散水を妨げるものを設けないこととされています。
新しい壁の上端がこの範囲にかかる場合は、移設の対象となります。腰高のパーテーションでも、天井高とパーテーション高の関係次第では引っかかるということです。
※上記の数値はヘッドの種別や建物条件によって異なります。実際の判断は図面と現地で行います。
3. 用途が変わるかどうか
事務所を飲食店にする、物販店を事務所にするなど、用途が変わる場合は設備の要件そのものが変わることがあります。 間仕切り工事とあわせて、設備全体の見直しが必要になるケースです。
判断に迷われた場合は、平面図をお送りいただければ、移設の要否をご回答します。 現地調査の前に、図面段階でおおよその判断が可能です。
間仕切り工事で必要になる、消防への届出
東京都内では、届出が最大4種類必要になります。
根拠となる法令が2つに分かれており、それぞれ提出者と期限が異なります。
消防法に基づく届出(全国共通)
スプリンクラー設備そのものに手を加える場合に必要です。
| 届出 | 提出のタイミング | 提出する人 |
|---|---|---|
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 工事に着手する10日前まで | 甲種消防設備士 |
| 消防用設備等設置届出書 | 工事が完了した日から4日以内 | 建物の関係者(所有者・管理者・占有者) |
注目していただきたいのは、この2つは提出する人が違うという点です。
着工届は甲種消防設備士でなければ提出できません。一方の設置届は、建物の関係者に義務があります。実務では工事業者が書類を作成して手続きを進めますが、義務者が異なることを知らないまま「どちらも業者が出すもの」と思い込み、提出漏れが起きるケースがあります。
設置届の提出後は、消防署による消防検査を受けます。
東京都火災予防条例に基づく届出(東京消防庁管内)
こちらはスプリンクラーに触れるかどうかに関わらず、間仕切り工事そのものが対象になります。
| 届出 | 提出のタイミング | 根拠 |
|---|---|---|
| 防火対象物工事等計画届出書 | 工事に着手する7日前まで | 東京都火災予防条例 第56条 |
| 防火対象物使用開始届出書 | 使用を開始する7日前まで | 東京都火災予防条例 第56条の2 |
東京消防庁は、「間取り」または「天井高さ」の変更等の改装を届出対象として明示しています。つまり、パーテーションを立てるだけの工事でも該当します。
さらに、対象となる建物では使用開始前に消防署長の検査を受ける必要があります。この検査で是正の指摘を受けると、オープン日そのものが動きます。
なお、この2つの届出は、消防法の着工届・設置届とは別のものです。片方を出せばもう片方が不要になる、という関係ではありません。
※工事等計画届出・使用開始届出は各自治体の火災予防条例に基づくため、東京都以外では名称・期限・対象範囲が異なります。また、建築基準法の建築確認を受けた工事は対象外となるなど、例外もあります。
期限に注意してください
工程を組むうえで効いてくるのが、**着工届の「10日前まで」**です。
工事の直前に「消防設備も対象だった」と気づくと、それだけで着工が10日以上後ろにずれます。テナントのオープン日が決まっている案件では、これが致命的な遅れになります。
さらに使用開始届と検査日程も加わるため、逆算すると、想像以上に早い段階で消防設備の検討を始める必要があるとお考えください。
届出の対応体制については、選ばれる理由のページでもご説明しています。
工事の流れと、工期の目安
全体の流れ
- 現地調査・図面確認:既存のヘッド位置と、新しい間仕切りの位置を照合します
- 図面作成・見積り:移設・増設するヘッドの本数と工事範囲を確定します
- 着工届の提出:着工の10日前までに、所轄消防署へ提出します
- 配管・ヘッドの施工:天井内の配管を延長し、ヘッドを新しい位置に設置します
- 設置届の提出・消防検査:工事完了後4日以内に届け出て、検査を受けます
消防設備業者を呼ぶ、最適なタイミング
「天井を閉じる前」です。
スプリンクラーの配管は天井の内部を通っています。天井ボードを張り終えてからヘッドの位置が問題になると、天井を開け直すことになり、内装工事の手戻りが発生します。
理想は、間仕切りのレイアウトが図面で固まった段階でのご相談です。この時点であれば、図面上でヘッド位置を調整でき、工程にも余裕が生まれます。
内装工事の着工が決まってからでは、着工届の10日間が確保できないこともあります。レイアウト確定の時点で一度ご連絡いただくのが、結果的に最も早く、費用も抑えられる進め方です。
よくあるご質問
Q. 内装工事とまとめて、御社に依頼できますか
消防設備の部分を当社が担当し、内装工事会社様と工程を調整しながら進める形が一般的です。図面の段階からご相談いただければ、内装工程に合わせた施工計画をご提案します。
Q. テナントが営業しながらの工事は可能ですか
可能です。商業施設やオフィスビルでは、営業時間外の夜間工事にも対応しています。隣接するテナント様への影響を抑えた施工計画を立てた上で着工します。
Q. ヘッドを1本移すだけでも、届出は必要ですか
工事の内容によって判断が分かれます。本数の多い少ないだけでは決まりませんので、まずは図面をお送りください。届出の要否を含めてご回答します。
Q. 消防署とのやり取りも任せられますか
はい。当社には有資格者が在籍しており、届出書類の作成から提出、消防検査の立ち会いまでを代行します。 お客様に消防署とやり取りしていただく必要はありません。
Q. 対応エリアはどこまでですか
東京都内を中心に対応しています。千葉県・埼玉県の案件についても、お気軽にご相談ください。
図面をお送りいただければ、移設の要否をご回答します
株式会社Trustechは、消防施設工事業と管工事業、二つの建設業許可を保有する管工事会社です。
テナント改修に伴うスプリンクラーヘッドの移設・増設を数多く手がけており、設計・施工から消防署への届出まで、一貫して対応いたします。
「この間仕切りで移設が必要か知りたい」というご相談だけでも歓迎です。
株式会社Trustech
TEL:0422-26-1745(平日 9:00〜17:00)
〒180-0023 東京都武蔵野市境南町5-9-6
対応工事の詳細は事業内容のページをご覧ください。
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